その55 イボイモリ観察紀行−2
Ikimono Dayori sono55
イボイモリ観察紀行 Page2

大学院大学予定地  この建設予定地は、イボイモリの多産地(おそらく世界最大)であり、132種もの貴重な動植物(天然記念物・種の保存法に定められた国内希少野生動植物種、国(環境省)や沖縄県版レッドデータブック掲載種)が生息・生育していることがわかっています。
 また、複数の新種の植物や日本新産種、沖縄県新産種の蘚苔類など学術的価値が高く、今後詳細な調査を行なう必要がある種も確認されています。
 上記を背景として、学識者や専門家が計画の変更や見直しを求めて意見書などが出されています。
 通常、これだけ多くの貴重種や注目種が確認されると建設予定地の変更を検討されるべきだとのですが・・・・さてさてどのような状況なのか、実際に見てみることにしましょう。
 完成予想図の鳥瞰図の看板を横目に建設予定地に進むと、予想に反して造成工事が急ピッチで進んでいる様子です。
 まるで、学識者や専門家の意見を無視し、逆に既成事実を作るために急ピッチで工事が進んでいるように感じられます。
 このままでは、何千・何万匹もの貴重種の命や希少で固有の生態系が失われてしまいます。
 生きものの生存にとって、生息・生育環境が消失したり、質的に悪化することが一番大きなダメージになるのです。
 沖縄科学技術大学院大学の建設により、132種もの貴重な動植物の生息・生育環境が失われ、地形の直接改変域周辺の生息・生育環境は質的に悪化します。
大学院大学予定地
大学院大学予定地

 沖縄県は、市民の知的レクリエーションである昆虫採集において、貴重種の全面採集禁止の検討を進めていると聞きます。その中で、まさに自らが目に見えない大量虐殺を行なっているのです。
 採集はいけないけれど、開発で貴重種を殺すのはかまわないのでしょうか?
 国や自治体は、もっともっと謙虚に学識者や専門家の意見に耳を傾けるべきではないでしょうか?
 私が中部で始めてイボイモリを観察した場所は、造成により消失しました。当然造成工事中に、県の天然記念物である多くのイボイモリが重機に踏まれたり、土の中に埋もれて死んでいったことでしょう。
 空しい思いでシャッターを切り、国道58号を北部のヤンバルの森に向けて車を走らせました。
 途中、大宜味村の道の駅でバナナと飲料水を買い込み、再び国道58号を北上し、県道2号から目的の沢に分け入ります。
 未舗装の林道は、背丈以上の高茎草本が生い茂り歩きにくくなってしまったのですが、自然が回復しつつあるということなのでこれも良しとしましょう。

 林道脇の石をはぐりながら沢に向けて歩きます。
 時々シリケンイモリが出てきてドキッとさせられます。
 林道脇の細流にはイボイモリの幼生が確認できます。近くの石の下でやっとイボイモリの成体も確認できました。やはり、北部産のイボイモリは巨大です。

北部産イボイモリ(幼生) 北部産イボイモリ(成体)
北部産イボイモリ(幼生)
北部産イボイモリ(成体)

 その後も、イボイモリを観察しながら沢に到着。沢をつめながら、イボイモリを観察し、写真撮影を繰り返します。
 定点観察している、トタンの下にも1匹ですが大きな成体が居座っていてくれました。
 多くのイボイモリを観察でき、写真撮影もできたので大満足です。
 沢山撮影したイボイモリの写真の一部をお見せして、昼間の観察は終わりにします。

石の下に隠れていた個体  
石の下に隠れていた個体 石の下に隠れていた個体
ガレ場に隠れていたイボイモリとシリケンイモリ  
ガレ場に隠れていたイボイモリとシリケンイモリ ガレ場に隠れていたイボイモリとシリケンイモリ
トタンの下に隠れていた個体  
トタンの下に隠れていた個体 トタンの下に隠れていた個体

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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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