さくちゃんの生きもの便り

Ikimono Dayori sono67

沖縄本島ラナウイルス・カエルツボカビ症調査協力紀行

17:00 瀬底島を経由して、名護の超高級ホテルに宿泊している小勝さんを迎えに行き、20時に宇根先生や徳田君と合流予定です。

19時に小勝さんを乗せて、待ち合わせ場所の道の駅「ゆいゆい国頭」に向かいます。

待ち合わせ場所の近くのコンビニで偶然徳田君たちと会ったので、予定を知らせ先に与那覇岳に行ってもらうこととしました。

動物写真家の「ばいかだ」こと徳田君

動物写真家の「ばいかだ」こと徳田君

徳田君は、ウミヘビ研究者でもあるトンボ玉作家の増永さんや琉球大学の化野君達と一緒です。

宇根先生と合流後、昨晩と同様に奥間農道から大国林道に入り、林道に出てきているカエルを見つけ、カエルツボカビ症検査のためのスワブ調査を行いながら与那覇岳を目指します。

与那覇岳登山口に到着後、駐車スペースに車を置いて登山道を歩きます。

ここからは今夜も、宇根先生に先を歩いてもらうことにします。

総勢10名、各々がお目当ての生きものを観察し楽しみます。


トンボ玉作家の増永さんは、発光キノコの撮影中です。この時期の与那覇岳では、アミヒカリタケ、スズメタケ、ホシノヒカリタケの3種が発光しているとのこと。

ライトを消すと、淡い幻光が真っ暗な空間から浮かび上がります。発光キノコが生育していることすら知らなかったのでびっくりです。

撮影したばかりの写真を見せてもらうと、これが素晴らしい!

来年は機材を準備して、撮影に挑戦したいと強く思いました。

カエル池では、徳田君がガラスヒバァの撮影中です。

徳田君の撮影が一段落したところで、横から撮影させてもらいます。

 

ガラスヒバァ
ガラスヒバァ

ガラスヒバァ(Amphiesma pryeri

 

撮影が一段落したところで、細部を撮影するために徳田君がガラスヒバァをあやすように優しく手に持ち撮影し、緊張を和らげながらゆっくり放します。

 

ガラスヒバァガラスヒバァを手に持つ徳田君

ガラスヒバァを手に持つ徳田君

 

僕は徳田君の写真が好きです。

それは、生きものたちに対する愛情が感じられる、優しい写真が多いからです。

徳田君がヘビを扱う姿を見ていて、徳田君の写真が醸し出す生きものに対する優しさは、こうやって生まれるのだなーと、妙に感激した一時でした。


時計は12時を回っています。

ここからは別行動です。

宇根先生は大国林道を南下しスワブ調査を行いながらホテルに向かいます。

吉田君は徳田君達と一緒に西銘岳西山麓の座津部川流域へ、私は小勝さんと生きものを観察しながら大国林道を北上し、時間があれば西銘岳まで行った後で小勝さんを名護のホテルまで送って行く予定です。

 

車に乗り込んで、大国林道を進みます。

路面が乾燥しているので、両生爬虫類は少ないのですが、リュウキュウコノハズクなどを観察しながら県道2号までやってきました。

これから西銘岳まで行って観察し、名護まで行ってホテルに帰ると朝になってしまうので、西銘岳は断念。

県道2号から国道に出て名護に向かうことにします。

県道を走り初めて10分ぐらいたった頃でしょうか。道路が緩く左側にカーブする箇所の右手にヘビがいるのが見えました。

体形からすぐにハブだと分かります。

車を止め、カメラをセットして急いで近寄りますが、ハブは崖の穴の中に逃げてしまいました。

ヤンバルでハブを観察できる機会は少なく、しかも大きくて綺麗な銀ハブだったので撮影したかったのですが、仕方ありません。

あきらめて車に戻ろうとして振り向いた時です。

ハブがもう1匹いるではありませんか。

こちらは、ノーマルタイプのハブですが、無事撮影することができました。

この場所は、以前にも銀ハブを見たことのあるところなので、次回は少し粘って観察することにしましょう。

コノハチョウ
オキナワハンミョウ
オキナワハンミョウ

ハブ(Protobothrops flavoviridis

 

さて今夜調査はこれで全て終了。

車に乗り込んでアクセルを踏みます。

走り始めてすぐに、ズボンの中で違和感があったのですが、あまり気にせずに国道を名護に向けて南下します。

時々、ズボンのポケットの付近で何かが動いているように感じます。

ズボンを引っ張ってみたり、お尻を動かしてみたりしながら運転を続けていたのですが、名護手前で、明らかに何かがズボンの中で動きました。

パニックになりそうな状態を必死に抑えて、小勝さんに「ズボンの中に何かがいる!」と告げて車を止め、車外に出ます。

ズボンのポケットを調べますが何もいません。でもズボンの中で何かが動いています。

長靴とソックスを脱ぎ、ベルトをはずし、ズボンの中を調べます。

すると、手品のようにズボンの中から動物が這い出し路面に落ちました。

なんと、小型のネズミです。

鼻先が尖っているのでおそらくジャコウネズミのようです。

どうしてズボンの中に入り込んだのか分かりませんが、おそらく与那覇岳の林内で寝転がってカエルやヘビを撮影している時にズボンのポケットに入り込み、ポケットの小さな穴を押し広げてズボンの中に入ったものと思われます。

あまりの出来事に、写真を撮影することもできませんでした。

偶然が重なったからだろうとは思いますが、こんなこともあるんだなー。

なんだか今回の沖縄旅行は、大型のケナガネズミを2個体観察し、オキナワハツカネズミの写真撮影に成功し、おまけにジャコウネズミに大切なところをコチョコチョさてるという不思議な体験までし、ネズミ類では充実した旅になりました。

いろいろな事がありましたが、小勝さんを無事ホテルに送り届け、4時にホテル到着。

シャワーを浴びながらジャコウネズミにコチョコチョされた大切なところを念入りにチェックし、何事もないことを確認し爆睡。

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文と写真:佐久間 聡(さくまさとし)

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