その60 イボイモリとその仲間達−5
Ikimono Dayori sono60
イボイモリとその仲間達 Page5

ベルコッサスイボイモリ(モトイボイモリ・アメイロイボイモリ) Tylototriton verrucosus
 
 中国の雲南省最西部、ネパール東部、ブータン、インド(ウエストベンガル州、メグハラヤ州、シッキム州、マニプール州、アルナカル-プラデシ州)、ミャンマー北部、ベトナム北部、ラオス北部、タイ等の広範囲に分布しています。
地域によって変異が大きいことから、調査・研究が進むことにより種や亜種に細分されることが予想されます。
丘陵地や低山地の池や水田等の水場周辺の林床や日陰地等の湿った場所に生息しています。
繁殖期は5月〜9月で、水中や水際の苔や草の根元に産卵すします。
ミャンマーでは、主に水田で繁殖しており、長い間水生生活となります。
皮膚は乾いていて、一面が小さい顆粒状の隆起で覆われています。
ミナミイボイモリより大型で、体色は緑がかった黄褐色〜茶褐色〜黒褐色と個体変異が大きく、前後の肢の掌、側頭部、尾部、総排泄孔周辺、疣状の突起先端部がくすんだ黄褐色〜茶褐色となります。
全長は12.5〜20.0cm程度で、ミナミイボイモリより一回り以上大きくボリューム感がありますが、産地によって大きさは異なります。
飼育経験では、通常は陸生ですが、春期に水生生活となり、水中で精子の授受を行い水際の苔に産卵しました。
飼育下では、水中の水草より水際の苔やオブジェクトの下を選好して産卵します。
雄が雌の下から前肢同士を絡ませ、抱え込むような求愛行動をとります。
水生時は皮膚が滑らかになるとともに、尾が幅広となり、水生生活に適応した体形に変化します。
孵化した幼生は、ミジンコ、イトミミズ、アカムシなどを捕食して成長します。
変態・上陸時の全長は6.0〜7.0cm程度で、繁殖経験があるイボイモリ属の中では最も大きいです。
上陸後の幼体はミミズ、イトミミズ、ハニーワーム等、昆虫の幼虫、小さなコオロギなどを食べます。

ベルコッサスイボイモリ(Tylototriton verrucosus  
ルコッサスイボイモリ幼生 ルコッサスイボイモリ幼生
ルコッサスイボイモリ幼生 ルコッサスイボイモリ幼体
  上段左右・下段左:幼生 下段右:幼体
ベルコッサスイボイモリ亜成体〜成体 ベルコッサスイボイモリ亜成体〜成体
ベルコッサスイボイモリ亜成体〜成体 ベルコッサスイボイモリ亜成体〜成体
  ベルコッサスイボイモリ亜成体〜成体

コイチョウイボイモリ Tylototriton kweichowensis
 
 中国の貴州省から雲南省にかけ分布しています。
 海抜1800〜2300mの山地部にある小さな池や緩やかな流れ周辺の林床や草地に生息しています。
 繁殖期は春〜夏期にかけてで、主に水中や水際などの植物の根元や苔に産卵します。
 スリムな体形で、皮膚は乾いており一面が大小の疣状の隆起で覆われています。
 体色は黒褐色〜黒色で前後の肢の指、側頭部、尾部、総排泄孔周辺、疣状の突起先端部、背中線が朱〜赤褐色となります。
 特に疣状の突起先端部と背中線の朱〜赤褐色は、太く帯状となっています。
 全長は15.0〜21.0cm程度です。
 飼育経験では、通常は陸生ですが、春期に水生生活となり、水中で精子の授受を行い水際の苔に産卵しました。
 飼育下では、水中の水草より水際の苔やオブジェクトの下を選好して産卵します。
 雄が雌の下から前肢同士を絡ませ、抱え込むような求愛行動をとります。
 水生時は皮膚が滑らかになるとともに、尾が幅広となり、水生生活に適応した体形に変化します。孵化した幼生は、ミジンコ、イトミミズ、アカムシなどを捕食して成長します。
 変態・上陸時の全長は4.5〜5.5cm程度です。
 上陸後の幼体はミミズ、イトミミズ、ハニーワーム等、昆虫の幼虫を食べます。

コイチョウイボイモリ(Tylototriton kweichowensis  
コイチョウイボイモリ卵 コイチョウイボイモリ幼生
コイチョウイボイモリ幼生 コイチョウイボイモリ幼生
  上段左:卵 上段右・下段左右:幼生
コイチョウイボイモリ幼体 コイチョウイボイモリ幼体
  幼体
コイチョウイボイモリ幼体〜成体 コイチョウイボイモリ繁殖期水生生活する成体
幼体〜成体 繁殖期水生生活する成体
コイチョウイボイモリ成体 コイチョウイボイモリ成体
コイチョウイボイモリ成体 コイチョウイボイモリ成体
  成体

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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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