その60 イボイモリとその仲間達−4
Ikimono Dayori sono60
イボイモリとその仲間達 Page4

チンハイイボイモリ Echinotriton chinhaiensis
 
 中国浙江省の鎮海城湾と瑞岩寺周辺に分布しています。
 海抜100〜200mの丘陵地の森林地帯とそれに接する畑などの石や倒木、落ち葉の下などに生息しています。
 繁殖行動はイボイモリと同様で、変態後はほとんど水中に入ることはなく、精子の授受や産卵も陸上で行われます。
 体の特徴も、イボイモリに類似します。皮膚は乾いていて、一面が小さい顆粒状の隆起で覆われています。体色は黒褐色〜茶褐色で前後の肢の掌、総排泄孔周辺、尾の下面、疣状の突起先端部が黄褐色〜赤褐色となります。
 肋骨は、怒ると傘のように大きく開き、体を反らせ威嚇します。その行動はイボイモリより顕著です。
 全長は11.0〜15.0cm程度です。
 私は、残念ながら飼育経験がありません。
 中国に分布するイボイモリ属は、全種が「国家重点保護野生動物名録」の第2級保護動物に指定されています。

チンハイイボイモリ(Echinotriton chinhaiensis  
チンハイイボイモリ チンハイイボイモリ
チンハイイボイモリ チンハイイボイモリ
  Photo: Max Sparreboom

ミナミイボイモリ Tylototriton shanjing
 
 中国の雲南省西部に分布しています。
 海抜1000〜2500mの山地にある池や水田等の水場周辺の林床や日陰地等の湿った場所に生息しています。
 繁殖期は5月〜8月で、水中や水際の苔や草の根元に産卵すします。
 皮膚は乾いていて、一面が小さい顆粒状の隆起で覆われています。
 体色は黒褐色〜黒色で、前後の肢、頭部、尾部、総排泄孔周辺、疣状の突起先端部、背中線が鮮やかな朱〜赤褐色となります。
 全長は13.6〜17.0cm程度の小型種です。
 次種のベルコッサスイボイモリと混同されていた種ですが、1995年に上記の形態的な特徴により別種とされました。
 飼育経験では、通常は陸生ですが、春期に水生生活となり、水中で精子の授受を行い水際の苔に産卵しました。
 飼育下では、水中の水草より水際の苔やオブジェクトの下を選好して産卵します。
 水生時は皮膚が滑らかになるとともに、尾が幅広となり、水生生活に適応した体形に変化します。
 孵化した幼生は、ミジンコ、イトミミズ、アカムシなどを捕食して成長します。
 変態・上陸時の全長は3.5〜4.5cm程度です。
 上陸後の幼体はミミズ、イトミミズ、ハニーワーム等、昆虫の幼虫などを食べますが、動きの早いコオロギなどは捕食することができません。

ミナミイボイモリ(Tylototriton shanjing  
ミナミイボイモリ卵 ミナミイボイモリ孵化直後の幼生
  左:卵 右:孵化直後の幼生

ミナミイボイモリ成体 ミナミイボイモリ成体
ミナミイボイモリ成体 ミナミイボイモリ成体
  ミナミイボイモリ成体

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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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