その56 秋の野山散歩(チョウ類観察編)−2
Ikimono Dayori sono56
秋の野山散歩(チョウ類観察編) Page2

 農家近くのキバナコスモスの周りを多くのツマグロヒョウモンが飛び交っているので、そっちに移動してみることにしました。

 雲一つない秋空にキバナコスモスとツマグロヒョウモンが輝いて見えます。一回り大きい ツマグロヒョウモンの雌も飛んできました。翅を広げて吸蜜に夢中です。
 シャッターチャンス。雌のつま先が濃紺に輝いて綺麗です。

青空に映えるツマグロヒョウモン♂ ツマグロヒョウモン♀
青空に映えるツマグロヒョウモン♂
ツマグロヒョウモン♀

ヒメアカタテハ  コスモスの花を素早く飛び交っているのはヒメアカタテハです。
 ヒメアカタテハはタテハチョウ科の汎世界種で、オーストラリアやニュージーランドを除く世界中に分布しています。日本では、国の開けた草原や荒原などで観察することができますが、越冬可能な土着地域は関東地方南部以南の地域です。食草は多種に及びますが、日本では主にハハコグサやヨモギを食べて育ちます。
ヒメアカタテハ

 湿潤地にノコンギクやミゾソバが咲き乱れています。
 多くのキタテハテングチョウがノコンギクで吸蜜しています。
 テングチョウは、テングチョウ科の1種で、和名の由来は下唇鬚が長大で前に突き出していることから、頭部に長い鼻が付いていて天狗のように見えることによります。
 日本全土で比較的普通に観察することができます。食樹はオオムラサキやゴマダラチョウと同様にエノキです。
ノコンギクやミゾソバが咲き乱れる湿性草地
ノコンギクやミゾソバが咲き乱れる湿性草地

キタテハ テングチョウ
キタテハ
テングチョウ

 日溜まりのアカマンマ(イヌタデ)の花では、ベニシジミが吸蜜しています。
 ベニシジミは北海道から九州まで分布し、やや湿った草地や畑地周辺で普通に観察することができます。幼虫は主にタデ科のギシギシやスイバを食べて育ちます。

ベニシジミ
ベニシジミ
 秋の陽はつるべ落とし
 ずいぶん陽が西に傾いてきたので、車を停めていた場所まで戻りザックを整理していると、足元からふわふわと茶色で大きな蝶々が飛び立ち、ススキの根元にとまりました。

 クロコノマチョウです。
 ゆっくり追いかけて、やっとの思いでシャッターを切ることができました。
 クロコノマチョウは、南方に分布を拡大しつつある蝶々で、関東平野でも近年になって比較的多く観察できるようになった、ジャノメチョウ科の大型種です。
 ここ、円海山周辺でも、毎年複数個体を観察できます。
 幼虫は、イネ科のススキやジュズダマなどを食べて育ちます。
クロコノマチョウ
クロコノマチョウ
 今年は色々な場所で、多くのクロコノマチョウを観察することができました。
 さて、ネットとカメラを片付けて今日の観察は、これでおしまいです。

2007年10月21日 さくちゃんこと佐久間聡


ページ1
ページ2

文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
お便りの宛先は、delias@ss.iij4u.or.jp です