その36 エゾサンショウウオを探しに-1
Ikimono Dayori sono36

エゾサンショウウオを探しに Page1
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 桜の花も終わり、新緑が色鮮やかな晩春の4月21・22日の2日間、社用で北海道に行ってきました。
 妻に車で空港まで送ってもらい、朝一の飛行機で羽田を出発し、爆睡状態で千歳に着くと・・・な・な・なんと吹雪!
 思わず我が目を疑ってしまうような銀世界。さすが北国、北海道です。
 それでも移動中のレンタカーからは、残雪から顔を出したふきのとうが春の訪れを告げています。
 22日の午前中までに全ての仕事が片づいたので、札幌市内でエゾサンショウウオの観察を行うことにしました。
ふきのとう
ふきのとう
 エゾサンショウウオは、北海道特産のサンショウウオで離島を除く全域に広く分布しています。止水性サンショウウオの中では、最も大きくなる種で20cm近い個体もいます。体色は青みを帯びた暗褐色なのですが、よく見ると微細な金色の斑点がちりばめられていて綺麗です。
 北海道には2種のサンショウウオが分布していますが、もう1種のキタサンショウウオは、道東の釧路湿原とその周辺にだけに生息しています。
エゾサンショウウオ(成体)
エゾサンショウウオ(成体)

水面いっぱいに産み付けられた卵塊を観察するH氏  さて、エゾサンショウウオの観察と言っても、どこに行けばいいのかさっぱり分からないため円山動物園のH氏にお願いして、繁殖池に案内してもらうことにしました(もちろん時間があれば自力で探すのだけれど)。
 H氏は、南西諸島の情報交換等を行う同好の友人なのですが、動物園で両生爬虫類の飼育係をされています。スキンヘッド、耳ピアスという今風の容姿なのですが、動物園の理想像を踏まえた、しっかりとした飼育等の理念を持ち、着実に実行に移しているナイスガイです(ほめすぎかしら)。
水面いっぱいに産み付けられた卵塊を
観察するH氏

 長靴に履き替えて、動物園を出て歩くこと3分、最初のポイントに到着です。なに・・・こんな所にと思うような近さです。でもその場所は、円山の原生林から湧き出た水が、自然に溜まって小さな池を形成している理想的な繁殖場所です。

 わざわざ長靴に履き替えて来たのですが、この場所ではエゾサンショウウオの卵嚢を探すために、池の中に入る必要はありません。エゾサンショウウオの卵嚢は、大きくて白いコイル状のため、岸からでも大変よく目立ちます。エゾアカガエルの卵塊に混じって点々との卵嚢が産み付けられているのが分かります。どの卵嚢も流木や枯れ枝、水際のクマザサの幹にしっかりくっつけています。昨夜産卵したと思われるシワシワの卵嚢もありました。昨日の雪?雨を利用して繁殖池に移動し、産み付けたのでしょう。
エゾサンショウウオの卵嚢とエゾアカガエルの卵塊
エゾサンショウウオの卵嚢と
エゾアカガエルの卵塊
流木に産み付けられた卵嚢 クマザサの茎に産み付けられた卵嚢 産卵直後と思われる卵嚢
流木に産み付けられた卵嚢
クマザサの茎に産み付けられた卵嚢
産卵直後と思われる卵嚢

 0.5対ほど採集し別の場所に移動します。


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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