さくちゃんの生きもの便り(その22) 春の生きもの観察日記−3
※すべて拡大写真ありマス

4月28日 ギフチョウの観察日記


ギフチョウの繁殖地となっている竹林

 4月27日に広島市内で仕事上の打ち合わせ終えて、宮島にある実家に帰郷しました。そこで、翌28日に時期的には遅いのですが、ギフチョウを見に中学生〜高校生の時期に良く通った、極楽寺山に行って来ました。
 まず、極楽寺山の山頂までタクシーで一気に登り、そこからゆっくり時間をかけて生きものを観察しながら下山するという安直な観察ですが、風邪をこじらせていたので無理は出来ません。

 山頂に着いて驚きました。ギフチョウの吸蜜植物のヤマツツジやミツバツツジの花が終わっています。いつもだったら、この時期でも花は残っていて、少ないながらもボロボロに飛び古したギフチョウも飛んでいます。
 やはり、ここ広島でも今年の春は早かったらしく、ギフチョウの発生期は終わってしまったようです。ギフチョウが多く集まる山頂や途中の尾根のポイントでも、ギフチョウらしき姿を1匹だけチラリと目撃しただけでした。
ギフチョウの飛ぶ姿を見られないのは残念ですが、春の野山を歩くのはじつに、気持ちがいいです。
 ギフチョウと同じように春だけしか姿を現さないコツバメやミヤマセセリがチョコマカとせわしなく飛び回り、成虫で越冬したテングチョウも日向ぼっこをしています。


 

 コツバメはシジミチョウ科のとても小さなチョウチョで、午前中の気温が低い時は太陽に向かって羽根を倒して日光浴をするユニークな生態の持ち主です。食草は、アセビやツツジ類等のツツジ科、ガマズミ等のスイカズラ科などです。春最も早く出現する種の一つで、雑木林や樹林地の周辺で多く見かけます。

日向ぼっこ中のコツバメ

 ミヤマセセリはセセリチョウ科の地味なチョウチョです。食草はクヌギやコナラ等のブナ科(ドングリの仲間)の植物です。コツバメと同様に、春最も早く出現する種の一つで、雑木林内で多く見かけます。
 テングチョウはテングチョウ科のチョウチョで、頭の先(上唇部)がテングの様に長くとがっているためこの様な名前が付けられています。
 食草はエノキ等のニレ科の植物です。春先に見られる個体は、前年に発生した越冬個体です。

 

日向ぼっこ中のテングチョウ
 

 チョウチョ以外で、枯れ草をガサガサと動いているのはカナヘビです。相変わらず愛嬌たっぷりです。
 日向ぼっこ中のシマヘビも2匹見付けました。
 その内の1匹は、いつもよく見かける名前通りの縞模様のタイプだったのですが、もう一匹は完全に真っ黒けっけの黒化型、通称カラスヘビです。写真では解りづらいのですが、目まで黒いのには驚きです。
 日向ぼっこの邪魔をして申し訳ないのですが、しっかりと写真を撮らせてもらいました。

シマヘビ(ノーマル型)
シマヘビの黒化型(カラスヘビ)三景

 さて、極楽寺山の麓まで下りてきました。
 最後の目的地は、ギフチョウが発生している良く管理されている竹林です。
 この竹林の持ち主は、学生時代から通っていた僕のことを覚えてくれていて、この日も、また横浜から見えられたのですか?と声をかけてくれました。
 竹の子の収穫作業を邪魔しないように、林の中を1時間ほど調べさせてもらいました。

 
 
 
 写真
 左: ギフチョウの食草カンアオイ
 右:

カンアオイの葉裏に産み付けられた卵塊


産卵を終えて死んでいた雌
 

 今年もカンアオイの葉裏には、多くの卵塊が産み付けられていました。また、その傍らの落ち葉の上には、子孫を残すという重大な使命を果たし終えた雌が、硬くなり横たわっていました。

 
 ● ヒダサンショウウオの観察日記へジャンプ
  アズマヒキガエルの観察日記へもどる
  トウキョウサンショウウオの観察日記へもどる
 
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
お便りの宛先は、delias@ss.iij4u.or.jp です。